というのも、ギリシャ危機以来、不安定な状況が続く欧州債務危機で、EUの通貨・ユーロの価値が相対的に低下しつつあります(ユーロ安へ)。
2012年は米国で大統領選挙があり、再選を確実なものにしたいオバマ民主党政権は自国の輸出産業が有利になるように、通貨・ドル安になるような政策をとるからです。その一方、財政再建路線をとる日本経済は海外の投資家からも「買い」とされるために、ドルやユーロを売って円を買う動き、「円高ドル安(現在は1ドル=77~78円台)」、「円高ユーロ安(現在は1ユーロ=97~98円台)」の傾向は当面続くと見られているのです。2011年10月に史上最高値は1ドル75.78円と更新しましたが、今年も更新がありそうだと市場は見ています。
たとえば、株式会社ジャパンネット銀行が12月に、年1回以上FX(外国為替証拠金取引)を行っている全国の20代~50代の男女473名に行った調査によれば、「今後の為替の予想は?」という問いに対し、この史上最高値75.78円を「再度更新する」と見ているのは、実に72.1%。7割以上のFXユーザーが「まだ円高進行は止まらない」と予想しています。
また、「どこまで円高が進行するのか」については、一番多かった回答が「70.00円~75.77円」で51.4%。半数以上のユーザーが「史上最高値の更新」はありえるが、「70円台」はキープすると見ています。70円を超え「60円台後半」まで進むと見るのは15.0%です。
ただし、こうした市場の見方に対し、過度の為替の行き過ぎを止めようとする日本の中央銀行・日本銀行の為替介入(市場で投資家と反対に円を売ってドルやユーロを買う動き)も、その動き出す目安は、「1ドル=75円台」と見られています。つまり、75円台が当面の円高の壁になるというわけです。FX投資家は75円台の上下で利益を得ようと待っている状態といえるかもしれません。
また、今年はFXをされていない方も、「FX」という言葉を多く聞くようになるかもしれません。こうした円高の傾向がある上に、「2012年1月以降」は税制改正でこれまで、2種類あった所得の計算が1種類にまとめられたからです。
これまでは、他の所得(給与所得など)と合算せざるをえなかった「店頭FX」(所得総額にあわせて最大で50%の税率がかかります)とFXの収入に関して他の所得とは「別」に税金を計算し、一律20%の税金となる「取引所FX」という2つの計算方法があったのですが、「取引所FX」(FXの収入に関して他の所得とは「別」に税金を計算する)に統一されました。このため今後は、いくら所得が出てもFX分は一律20%の税金となったのです。この点は株式などと他の金融商品と同様の取り扱いになったというわけです。つまり「店頭FX]というタイプを選んでいたために、これまで税金でとられていた分もその一部が所得になる、という納税者側のメリットが出てくるのです。
とはいっても、まずは、利益が出ていなくては、納税者のメリットにもなりません。FXは国際情勢が大きく影響しますので、始める際にはくれぐれもご注意のほどを。
(松井克明CFP)
