2012年、アメリカ経済は急回復 毎年恒例のびっくり予想

2012年1月23日 10:30

 今年は、原油価格が割安になり、株式市場が好調でアメリカ経済は急回復する――となるかもしれない。これは、米投資会社ブラックストーン副会長(Blackstone Vice Chairman)バイロン・ウイーン氏が、毎年恒例に行っている「The Ten Surprises for 2012(10大びっくり予想)」のベストテンの結果によるものです。

 バイロン・ウイーン副会長は、一般的な投資家はさほど起こらない(確率は約30%程度)と考えているが、起こる確率は50%以上と副会長が予想する政治、経済、金融にまつわる予想を「10大びっくり予想(サプライズ)」として、毎年1月に発表しています。発表されると、アメリカだけでなく日本のマスコミをにぎわせるのですが、その的中率は50%程度といわれています。

たとえば、昨年(2011年)の予想で的中したのは、
「金相場は1600ドル以上」
「中国は人民元が4~5%上昇」
「アメリカ住宅市場好転で、住宅着工60万戸」
「アフガニスタン撤退で、中東にテロの脅威」
の4つで、的中率は40%でした。

●びっくり予想で世界情勢が見えてくる。

 では、今年の予想は以下の通りです。
1・産出国の比重が変わり、2011年末では99.50ドルの原油価格は1バレル85ドル以下に下落
2・原材料費の割安な状態が続くため、2011年末では1257.60の株式指数S&P500は、1400以上に
3・原油価格は割安で、株式市場も好調となるため、実質成長率は3%以上、失業率は8%以下に低下
4・(上の2と3のように)市場環境が良好になるためにオバマ大統領の信頼が回復する。大統領選でオバマ氏と争う共和党の候補者になるのはロムニー(Mitt Romney)氏
5・欧州は最終的に長期解決策を発表。ギリシャ離脱や、金融機関の危機は避けられるものの、欧州は景気後退に突入する
6・コンピュータがテロリストの最新武器となり、東ヨーロッパやアジアのハッカーが活発に活動する
7・金融緩和が世界的に続くことに憂慮した投資家は慎重な行動をとる国(北欧諸国、オーストラリア、シンガポール、韓国など)の通貨を買いだす
8・米議会は11月の大統領選挙の前までに、10年で1.2兆ドルの予算の赤字削減策を発表
9・アラブの春は最終的にシリアのアサド政権の崩壊にまでいたる
10・これまでの新興国(中国、インド、ブラジル)の代表的な株価は15~20%上昇。これからの2年間は次の新興国が伸びてくるだろう

 その他、50%未満の確率とされる予想として、「アメリカ住宅市場が好調に」「アメリカ長期金利の4%まで上昇」「金価格は1800ドルに再接近」「アメリカの地方債は低調」といった予想が続きます。

 こうして全体をみると、アメリカ経済が好調になって、その影響を受けた日本経済も回復を見せそうです。うれしい予想ですが、ただし、これらは、「びっくり予想」です。残念ながら、それほど多くの人が予想しているシナリオというわけではなさそうです。

 ただし、今年の予想の「1」に取り上げた原油産出国の比重が変わるという予想は、現在、アメリカとイランの対立が高まり、中東ホルムズ海峡を封鎖する懸念が高まってきていることからも「びっくり予想」とは言えなくなってきています。長期的にみれば、アメリカだけでなく、日本も中東依存の原油産出国の比重を変更することが考えられそうです。

 アメリカはこれまでも、自国の産業を好調にするために原油などの価格はできるだけ下げたいと考えてきています。11月に大統領選挙を控えるオバマ政権にとっては、できるだけ、原油価格を引き下げ、国内経済を好調にして、再選を確実なものにしたいと考えるでしょう。そのためには原油に大きな力を持つ中東各国との関係を良好なものにしたい。現在、対立する関係であるイランの現政権をなんとかしたいと考えるのは自然な流れかもしれません。このように、びっくり予想とはいえ、世界情勢が見えてきますね。
(松井克明 CFP)
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