子どもの事故で1億円! ワンコインで備える自転車保険

2013年8月29日 11:00

自転車事故で、高額の賠償金を請求されるケースが増えている。7月には神戸地裁で、小学5年生(当時)の起こした事故について、母親に約9500万円の賠償金を支払うよう命じる判決が下された。



問題の事故は2008年9月に発生したもの。マウンテンバイクで坂道を下っていた小学5年生の男児が、散歩中の女性(62歳:当時)に正面から衝突。女性は転倒して頭を打ち、約5年たった現在も意識が戻っていない。

裁判では母親に対して「子どもに対する指導が不十分だった」と判断されて、介護費用や慰謝料など、計約9500万円の賠償が命じられた。

母親側は日頃から子どもに対し、安全に自転車に乗るよう指導していたと主張したが、事故が起きたとき、時速20km~30kmという高速で走っていたことや、ヘルメットを着用していなかったことなどから、指導が功を奏していなかった、と判断された。

誰でも気軽に乗れ、健康的でエコなことから人気を集めている自転車だが、自動車ほど危険性を感じる人が少ないため、近年、こういった高額賠償につながる大きな事故が増えている。

神戸のケース以外でも、横浜で女子高校生が女性看護師と衝突した事故では、手足のしびれなど重い障害が残ったため、5000万円の賠償命令が出た。事故当時、女子高生は携帯電話をいじりながら無灯火で自転車に乗っていた。

東京では信号を無視して交差点に自転車を乗り入れた男性が、横断歩道を渡っていた女性と衝突。女性が死亡したケースで、約5400万円を賠償するよう命じる判決が下された。

交通事故全体の件数は近年、少なくなってきているが、自転車が歩行者を傷つけてしまう事故の割合はむしろ増加している。裁判で3000万円以上の高額賠償が命じられることも珍しくなくなってきた。

自身や家族のちょっとした不注意で、大きな賠償責任を負う危険性を考えると、検討してみたいのが自転車保険だ。


●保険選びのカギは示談交渉

自転車保険はその名の通り、自転車に乗っていて事故を起こしてしまったときに、賠償金などを保証してくれる保険だ。各保険会社が販売している他、日本サイクリング協会(JCA)でも会員に対するサービスとして提供している。

保障内容を考えると、保険料はお手頃で、月額500円以内の掛け金でも、最大1億円の賠償保障がつく他、入院保険や医療保険までついてくるものが一般的だ。最近ではコンビニから加入できるものもあり、人気を集めている。

選ぶ際にまず基準になるのは、保障内容と保険料の比較だ。賠償保障の上限額は1000万~1億円程度のプランが一般的で、上限額が高額になるほど、保険料も高くなる。

もうひとつチェックしておきたいのが、示談交渉代行の有無だ。実際に事故を起こしてしまった場合、賠償の交渉は非常にストレスが大きく、大変な手間を要する。加害者本人を前にすると、被害者自身や家族も感情を抑えきれないことがあり、かえって交渉が難しくなることも多い。

もちろんこのサービスがついているプランは、その分少し高くなるので、「なるべく安く入りたい」という方は、保険料が安価な「示談交渉代行なし」のプランを選ぶとよいだろう。


●火災保険・自動車保険に追加すればさらにお得



月額保険料がワンコイン以下ですむとはいえ、家族が多い世帯では、全員の分をかけると保険料が年間1万円を超えてしまうケースもある。「そこまではちょっと……」という方にオススメなのが、火災保険や自動車保険に「特約」としてつけられる「個人賠償責任保険」だ。

こちらは自転車事故だけでなく、「飼い犬が人を咬んでしまった」「子どもがキャッチボールをしていて窓ガラスを割ってしまった」など、日常生活で賠償責任が生じるさまざまなシーンで使える。

「特約」の追加に必要な保険料も、大半の自転車保険より安いので、自転車保険を検討する際には、まずすでに加入している火災保険、自動車保険などを確認してみるとよい。保険によっては、特に追加しなくても基本プランに「個人賠償責任保険」がついているものもある。

非常にお得だが、一点だけ注意が必要だ。特約をつたケースでも、もととなる火災保険や自動車保険が切れたら、「個人賠償責任保険」も無効になってしまう。

(谷垣吉彦)
マネーカテゴリ