昔と変わらず人をひきつける、宝くじのビジネスモデル

2012年5月11日 17:00






4月初め、アメリカの宝くじ「メガミリオンズ」の当選金額がアメリカの宝くじ史上最高額となる6億4000万ドル(約530億円)になったというニュースが流れ、話題を呼んだ。当選者は3名おり、現時点で2名が名乗り出ているそうだ(2012年4月10日現在)。

アメリカ在住の筆者の知人も、この宝くじを買ったそうで、残念ながら当選はしなかったものの、「当選結果発表の日は、友達の家でパーティーを開き、みんなで結果を見ながら盛り上がった」そうで、たいそう楽しそうであった。


一般的に、宝くじは他のギャンブルと比較して「割に合わない」といわれている。谷岡一郎の著書「ツキの法則」によると、各種ギャンブルの還元率(使ったお金に対して、平均して何パーセントのお金が戻ってくるか)は、競馬75%、ルーレット95%、スロットマシン96%であるのに対し、宝くじは46%と非常に低い。
にも拘わらず、宝くじは昔から廃れることなく、世界中で人気を集めている。宝くじは、なぜこんなにも長く人々に受け入れられているのだろうか?


宝くじを歴史的に見ると、大きく分けて2つの目的がある。
一つは、低所得層の購買欲を刺激すること。例えば1522年、ベネチアの貿易商が舟のこぎ手に商品のカーペットが当たる宝くじを販売したり、1700年代、まだヨーロッパの植民地であったアメリカで、高額の不動産を宝くじの当選品としたことがこれに該当する。普通は手が出ないような高額の商品を、「宝くじ」という仕組みを使うことで実質的に「販売する」ことができる利点があるわけだ。


そして、宝くじのもう一つの重要な役割が、公共福祉への貢献である。例えば、1933年にフランスで販売された宝くじは、収益の一部を第一次世界大戦により夫や両親を失ったり、けがを負った人々へ資金援助をすることが目的となっていた。現在も、フランスの宝くじ公社「フランセーズ・デ・ジュー」は国内スポーツ振興に大きな貢献を果たしている。アメリカ・カリフォルニア州では、宝くじによる収益の34%がパブリックスクール(小学校)のために使われている。


日本の宝くじの場合、以下のグラフにあるように、収益のおよそ4割が全国の町づくりに利用されている。




宝くじの収益金用途内訳(「宝くじ公式サイト」より)


その用途は自治体ごとにさまざまであり、例えば埼玉県では「彩の国さいたま芸術劇場」などの文化芸術振興のために、また筆者の出身地である岐阜県では乳幼児にかかる医療費のための補助金として使われている。2011年の東日本大震災後、「震災復興支援」を目的とした宝くじが数多く販売され、全体的に好調な売れ行きであったことも記憶に新しい。


これらの事実から、公共の福祉への「寄付」を目的としつつも、「もしかしたら当たるかもしれない」という夢を持つことができる、ということが、宝くじが長年受け入れられている重要なポイントなのだろうと思われる。「皆でパーティーをしながら当選番号を見る」ということができるのも、宝くじが純粋に賭けを目的としたものでないことを表しているのではないだろうか。


ちなみに、冒頭で紹介した「メガミリオン」の一等当選確率は1億7600万分の1といわれており、これは「雷に撃たれて死亡する確率(約75万分の1)」よりもはるかに低い確率である。それでも、今年も宝くじを買ってしまうんでしょうね。



ペンネーム:T.E.
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