企業に学ぶローンの使い方

2013年9月4日 11:00

私たち個人が持つお金の感覚と、企業が持つお金の感覚には大きな違いがあります。私たちは、今あるお金をどうやって使うか? ということに知恵を絞ります。お金がたくさんある人は、そのお金を使って豪勢な夕食を食べたり、時には海外旅行へ出かけたりします。逆に、今お金をあんまり持っていないという人は、質素な夕食で我慢するなど、目の前にあるお金の範囲内でなんとかやりくりを行っていくことでしょう。



一方、企業には「資金を調達する」という考え方があります。これは、事業に必要となる資金を様々な形で集めてくるというものです。英語ではファイナンスと言います。例えば、株主から出資してもらうというのは、資金調達のスタートラインです。この時、株主の立場で考えれば「出資して株価の上昇で一儲けしよう」ということになりますが、企業の立場からすると「必要な事業資金として株主からお金を調達してきた」という考え方になります。この調達してきた資金を有効活用するため、企業は土地や建物を買ったり、機械を購入して設備投資を行ったり、従業員を雇って給料を払うといった経営活動を続けていきます。

しかし、株主からの出資分だけでは、経営活動の範囲にも限界があります。「もっと大きな事業をしたいっ!」そんな時に活用する資金調達方法が「銀行借入」です。銀行から一定期間お金を借りることによって、工場を大きくしたり、研究開発に資金を投入するなど、経営の選択肢がさらに広がることとなります。ただし、お金を借りることになれば、銀行へ利息を払わなくてはなりません。よって、多額の借金をすることになれば、多額の利息負担に苛まれることになります。また、銀行からお金を借りるためには「審査」を受けなければなりません。通常、企業が銀行から多額の資金を借りるためには、数週間から数ヶ月の時間を要します。この審査結果を待っている間に投資のチャンスを逃してしまったり、支払わなければいけない仕入れ代金の期限が遅れてしまうようなことがあるかもしれません。

そこで企業は、コマーシャルペーパーと呼ばれる手形を発行することによって、短期的に必要となる資金を調達することがあります。この場合、たとえその年利率が高かったとしても、必要な資金を必要な期間だけ借りることになるので、結果として余分なお金を長期間借りるよりも少ない利息負担で済む、といったことが考えられます。

このように、企業は長い期間使うことになる資金は株式発行や銀行借り入れ、もしくは社債の発行といった手段を用います。対して、「短期的にちょっと必要なお金」という場合はコマーシャルペーパーを発行したり、当座借越契約を結んでおくなどして対応しています。
企業は今目の前にあるお金を管理するだけではなく、今後必要となるお金がいつまでにどれだけ準備しなければいけないのか? といったことまで管理し、その時々に応じた手段を上手に使い分けています。

同様の考え方は、私たちの生活にも応用できるはずです。例えば、家を購入するときには、多くの人が住宅ローンを活用しています。車を買うときにマイカーローンを活用する人もいることでしょう。この時、多くの人が「今、お金が足りないから借りてきた」と思ってしまうはずです。しかし、企業の考え方を応用すれば、「住む家が必要だから銀行から資金を調達してきた」、「車がないと効率よく生活できないから、金融機関から資金を調達して購入費を賄った」と言い換えることができます。
よって、私たちは困っているからローンに頼っているのではなく、現在や将来の生活を充実させるためにローンを「活用している」と考えることもできるのです。場合によっては、手持ちの資金を株式投資等で効率的に運用し、一時的な資金不足においてキャッシングを利用した方が、資金管理全体として上手にお金を回すことができたということも考えられます。

また、働いて給料を稼ぐというのも、私たちの資金調達手段の一つとも言い換えることができます。
「給料によって資金を調達する」
「株式投資等の運用によって殖やす」
「ローンによって資金を調達する→返済する」
このように、私たちは様々な形で資金管理を行っています。今あるお金を何も考えずに使うのではなく、有効なお金のサイクルを考えて、お金と上手に付き合っていきたいものです。

(小山信康)
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